CASE STUDY

顧客事例

株式会社アプティ 様

寄り添う人材紹介の現場を仕組みで強化〜Salesforce導入で実現する業務効率化と構造化〜

課題・背景

株式会社アプティの人材紹介・派遣業務において、情報の属人化が課題となっていた。各営業担当が保有する候補者や企業の情報が個人に閉じた状態で管理されており、組織全体での共有・活用が困難な状況に。既存のCRMは導入していたものの、マッチングや業務効率化を前提とした設計ではなかったため、十分な成果には結びついていなかった。求職者獲得に対する投資は継続していたものの、蓄積されたデータを活用しきれておらず、業務は属人的かつ非効率な状態が続いていた。こうした背景からSalesforceの導入により情報共有の仕組みを整備し、営業生産性の向上を図ることを検討。

想定効果

Salesforceの導入により、業務プロセスの一元化と標準化を実現。煩雑だった作業を効率化し、求職者一人ひとりに向き合う時間を確保しながら、担当者ごとの生産性を高められる体制を構築する。さらに、従来の人力では見逃していた求職者と企業の接点も、システム活用により可視化され、マッチングの精度とスピードを大幅に向上。属人化を防ぎつつ、支援の質を落とさずに組織全体の成果を引き上げるとともに、売上拡大にもつながる仕組みへと進化していく。

株式会社アプティは、自動車業界、特にアフターマーケット分野に特化したマーケティングやマーケティングセールスを手がける企業です。

AHR事業部では主に人材関連の事業を担当していますが、会社全体としては、有形商材の提供や、空調設備など職場環境を整えるための設備導入支援も行っています。

カーディーラーや整備工場など、アフターマーケット業界で働く方々の“より良い仕事環境づくり”や“ビジネスの成長支援”を幅広く行っています。

株式会社アプティ AHR事業部メディアチーム マネージャー 須原弘之氏
    株式会社アプティ HR事業部 池田滋洋氏(リモートで参加)

――Salesforceの導入の背景と用途、当時抱えていた課題について教えてください。

池田様:私たち人材紹介・人材派遣のエージェント業務において、当時大きな課題だったのが「情報の属人化」でした。

つまり、各営業が持っている候補者や企業の情報が個人の頭の中やローカルのパソコンにとどまっていて、組織全体で共有・活用されていなかったんです。 「どうにかして情報を共有・活用できる仕組みを整えたい」と考えていたところ、Salesforceの活用を知りました。

「項目を設計して情報を格納できる」「チームで共有できる」という点に可能性を感じ、今回の導入や相談に至りました。

須原様:CRMツール自体は使っていたものの、いわゆる“高機能なCSVファイル”のようなもので、マッチングや生産性向上を前提としたデータ設計にはなっていませんでした。

そのため、せっかくの情報が埋もれてしまい、業務効率や成果に直結しづらい状況が続いていたんです。

加えて、求職者集客への投資もずっと継続していたので、データベースの規模は徐々に大きくなっていました。それにもかかわらず、そのリソースを活かしきれず、「気合と根性」で乗り切るような非効率な営業が続いていたのも実情でした。

同じ投資をするならより大きなリターンにつながる仕組みをつくり、営業の生産性を上げたい、そんな思いが背景にありました。

――CRMツールの中でも、Salesforceを選ばれた理由は何ですか?

須原様:もともとCRMは部門ごとにバラバラに運用されており、全社での情報活用には課題がありました。

一方で、経営陣としては「無理に一つのプラットフォームに統一しなくても、データ連携さえできていれば良いのでは」という考えもあって。その中で人材部門として、「自分たちが取り組むべきことは何か?」と立ち返ったとき、まず目指すべきは“生産性の向上”だと考えました。

そして生産性を上げる手段として最も効果的なのは、データ活用と業務の標準化だと判断し、全社的にも展開できる基盤としてSalesforceを導入することに決めました。

池田様:人材部門として、データを格納する“箱”としての仕組みはあったものの、それを業務に活かす体制が整っておらず、情報はあっても使い切れていない状態でした。その結果、どうしても属人的な対応が多くなり、人力でカバーする業務も少なくなかったんです。

Salesforceを導入することで、まずはデータを整理・構造化し、業務に活用できる形で蓄積・管理できるようにしたいと考えました。

目指していたのは、マッチング精度の向上と業務効率化。これまで手作業で行っていた部分を、できるだけ自動化することで、営業現場の負担を減らすことが狙いでした。

マッチングに関しても、従来は複数のツールをまたいで条件検索を行うなど、一定の精度ではできていたけれど、操作の難しさやリテラシーの差が課題になっていました。それをSalesforceで標準化・一元化することで、誰でも使いやすく、業務がシームレスにつながる仕組みを作りたかったんです。

また、人力でのマッチングには限界がある中で、システムを活用したマッチングによって、これまで見逃していた求職者と企業の接点を拾えるようになり、“取りこぼしのないマッチング”ができることで、売上の拡大にもつながると考えました。

――ORITを導入支援パートナーとして選ばれた理由は?

須原様:Salesforce社からの紹介でORIT.のお話を伺ったのが最初の接点で、石川さんがSalesforce社のご出身という点に安心感がありました。

Salesforceを深く理解したうえで技術設計までできることが、今回のプロジェクトを任せたいと思えた理由の一つでした。

もう一点は、石川さんをはじめとしたORIT.の方々が、物事を構造的に捉え、且つそれを言語化する力に非常に優れていたことです。今回のように業務や事業の背景をしっかり理解したうえで設計しないと、「期待していたものと、実際に出来上がったものが違う」というズレが起きかねません。

その点で、我々の事業をきちんと理解し、言語化しながら一緒に整理してくれる姿勢に、導入成功への期待を持てました。

――プロジェクト開始後、進行の仕方や品質についてはいかがでしたか?

池田様:アプティの人材紹介・人材派遣における業務フローに少し特殊な部分があり、その仕様に合わせてカスタマイズを進めていく中で、時間がかかってしまったり、ご相談でご負担をかけてしまったかもしれません。

ただ、当初から会議に入らせてもらって、非常に整理された進行をしていただいたことで、プロジェクト全体がスムーズに進みました。進め方や会議の設計の完成度が高く、多くのプロジェクト経験を経て培われたものだと感じましたね。

ログの取り方・当日のアジェンダ・次回の予定などがすべて共有されて、資料や議事録もスプレッドシート上で管理・共有いただくなど、整った体制でご対応いただき、一つひとつがとても参考になり、私自身も多くを学ばせていただいた期間でした。

事前にORIT.社内で、丁寧な確認を行い、そのうえで進めてくれているのを感じました。

データ移行については、正直なところ私たちがシステム面に強いとは言えず、不明点の多い状態でのスタートとなりました。

当初は拡張機能を使ってインポートを行っていたのですが、途中でエラーが発生したこともあり、インポート手段をWizardへと切り替えたり、さらに別のツール(データローダー)を検討したりと、いくつかの変更が生じました。

実際に操作しながら少しずつ理解を深めていったものの、振り返ってみると、インポート・エクスポートまわりのサポートがもう少し手厚ければ、よりスムーズに進んだのではと感じています。

――導入後、業務としてはどう変わりそうですか?

池田様:営業チームには、「これまで個々が持っていた情報を、ちゃんと全体で共有・活用していこう」という考えのもとで、Salesforceを導入した背景を伝えています。

今はまだ、情報を入力する手間がかかっていて大変な部分もあると思いますが、「ここを乗り越えれば、もっとマッチングしやすくなって、提案のチャンスも増える」ということをしっかり共有しています。データを入れれば入れるほど、自分たちの営業活動がやりやすくなる、というイメージです。

もちろん、いきなり売上が大きく伸びるわけではないですし、最初は慣れるまで時間がかかる部分もあります。ただ、少しずつデータが蓄積されていけば、営業効率も上がって、売上にもつながっていくはずです。

また、Salesforceを使っていく中で、「ここはもう人手をかけなくてもいいよね」という業務も出てくると思うので、そうなれば人の配置を見直して、より価値の高い業務に集中できるようになるはずです。

今後は、Salesforceをしっかり使いながら、「どうすれば売上を最大化できるか」を一緒に考えていければと思っています。

――Salesforceの今後の利活用の展望を教えてください。

須原様:人材ビジネスはどうしても労働集約型と言われることが多くて、生産性を上げて売上を伸ばしていくには、大きく分けて2つのポイントがあると思っています。1つは人の成長や人数の拡充、もう1つは仕組みでそれを支えるということです。

Salesforceを選んだ理由の一つとして、「仕組み」の部分で将来性を感じたというのがあります。Salesforceの取締役の方も、AI活用を本気で取り組んでいる様子をメディアなどでも発信されていて、これからの方向性に可能性を感じました。

私たちのような中小企業が単独でAIを活用していくには、正直ハードルが高い部分もあります。でもAIを含めた進化に前向きな基盤と一緒に歩んでいけば、将来的に大きなメリットがあるはずだと思ったんです。

まずは今回、第一フェーズとしてSalesforceを導入して、生産性をしっかり高める。その成果をちゃんと会社に還元できた上で、次の展開にもつなげていけると期待しています。

社内を見ても、ハイパフォーマーとそうでないメンバーとの間に差があるのが現状です。だからこそ、業務を仕組化して標準化し、全体の底上げを図るのがすごく大事だと考えています。

その一方で、ハイパフォーマーには、さらに力を発揮できるような環境も用意したい。最終的には、求職者と向き合う中で、人が本当に集中すべきなのは「寄り添うこと」なんじゃないかと思っています。

いずれは、業務の大部分はAIなどの仕組みが担い、私たちは“人だからできること”に集中できるような形に近づけていけたらと考えています。

池田様:須原の話にも少し通ずるものがあるのですが、うちの人材紹介はとにかく求職者にしっかり寄り添うスタイルを大切にしています。面接対策も「1回で終わり」ではなく、必要なら2回、3回とやる。売上を追うのはもちろん大事ですが、それ以上に「この方にとって本当にいい選択肢は何か?」を一緒に考え、転職後の条件面の交渉も含めて、できる限りサポートしています。

その分、やはり時間も工数もかかりますが、本気で向き合っているからこそ、求職者から信頼され、何かあったときにも相談してもらえる関係が築けています。

ただ、今のこのスタイルを維持しながら事業を拡大していくには、仕組みで支える部分が必要だと感じていて。今は1人あたりの売上にある程度の限界が見えているので、同じ時間でより高い成果を出すために、Salesforceを活用して業務を効率化し、標準化していくことで、組織としてのパフォーマンスを底上げしていきたいと考えています。

求職者への「人としての寄り添い」はそのままに、無駄な工数は減らして、もっと本質的な支援に集中できるような体制にしていきたい、というのが今の展望です。

――最後に、どのような企業にORIT.をおすすめしたいですか?

池田様:ORIT.はこちらの要望をしっかり聞いたうえで、一緒に相談しながら進めてくれて、「御社に合う構成はこうですね」「項目やオブジェクトはこう設計するといいですよ」と具体的に提案してくれる力がとても強いと感じました。

自社に合ったSalesforceの使い方がわからない、構築の進め方に不安があるという企業にとっては、すごく心強い存在だと思います。単なる構築だけでなく、伴走しながら一緒に作り上げていくスタイルを求めている会社さんには特にフィットするのではないでしょうか。

須原様:成長途上のベンチャー企業とは特に相性が良いのではないかと感じています。Salesforce社自体も「御社のビジョンを実現するにはSalesforceが最適な答えです」という提案の仕方をされると思うのですが、それを“その会社のフェーズや状況にフィットするカタチ”に落とし込んで、事業を加速させるツールに仕立てていく——この部分がORIT.は非常に得意なのではないかと感じました。

また、実際にご一緒した中で印象的だったのは、解像度高く事業を理解しようとする姿勢と、常にこちらに寄り添って並走してくださるスタンスです。この「真摯さ」と「業務理解の深さ」は、ORIT.の大きな強みだと思っています。

だからこそ、「ただシステムを導入する」のではなく、「導入のその先にある成果」にしっかりつなげられるという信頼感・期待感が生まれるのだと思います。

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